騙されるな!「過払い金が来年で消滅する」という話はウソ

「誤解を生むCM」に法律専門家からの批判殺到

「過払い金の返金期限迫る。最高裁で過払い金が認められて来年で10年。10年経つと過払い金は時効で消滅」。最近,こうした司法書士事務所の広告やCMが目立つようになったと感じる方は,多いのではないだろうか。

 

ただ,法律上,最高裁判決から10年を経過しても過払い金すべてが時効になるわけではなく,「これらのCMは,消費者に誤解を生じさせ,不安を煽る表現で,不適当。」と弁護士などの法律専門家から批判を受けている。あるベテラン民事裁判官も,「事実関係を並べているだけで(ひとつひとつは)間違いではないが,『最高裁判決』『時効』という言葉が続き,時効について勘違いする人もいるのでは」と疑問視する。

 

過払い金はいつ請求できなくなるのか

「夏季,生卵を安心して食べられるのは産卵後16日以内。日本で卵が食用になったのは江戸時代。来年は江戸幕府廃止(大政奉還)から150年!!」と言われて,「じゃあ卵を食べるのはやめよう!」と判断する人はまずいない。食用卵について,我々はある程度の知識がある。だから,スーパーに売っている卵が,まさか150年以上前に産卵されたものであるなどという勘違いは,起こさないのだ。しかし,法律問題となると,そうはいかない。専門知識であるから,素人である我々には容易に判断できない。そこで,ひとつひとつの事実が正しいものであっても,それが並べられると,勝手にあらぬ推測をして,誤解を生じさせてしまうことがある。

 

債務整理相談はこちら

 

たしかに,このCMの言う通り,過払い金返還の消滅時効は民法で10年と定まっている。しかし,CMは正しく指摘していないが,その「10年」という期間は,取引終了時から数えてのことである。このため,最高裁判決から10年を迎えても,すべての過払い金が時効で消滅するわけではない。取引終了から10年経っていなければ過払い金の請求はできるから,「最高裁判決から10年を迎えた」という事実は,法的にはなんの意味も有しない。ちょっと考えれば当然のことであっても,我々は「専門家が言っているから」と信じてしまう。ここで,もしも司法書士が「あなたの勝手な推測で,勝手に誤解しただけでしょう」などと言ってきたら,どう思うだろうか。

 

司法書士会の反応

日本司法書士会連合会は,「違反はない」との見解だ。過払い金返還の広告の過剰表現はこれまでも問題視されたことがあり,同連合会は平成21年の指針で,「品位又は信用を損なうおそれのある宣伝」を禁じた。ただ,今回の広告について同連合会は,「違反にあたらず,対応は検討していない」としている。

 

一方で,連合会幹部からは,「紛らわしい表現でグレーゾーンだ」と疑問の声があがる。幹部は,個人的見解としながらも,「債務者の危機感をあおる一方,過払い金取り戻しを諦める人が出る可能性もある。公益性を優先すべき司法書士のCMのあり方としては問題」と話す。新宿事務所は「これまで苦情はなく大丈夫だと思っていた。指摘に真摯に対応したい」「指摘を検討し,誤解が生じる可能性があると判断した。近く差し替える」としている。

 

債務整理相談はこちら
ホーム RSS購読 サイトマップ